大晦日の大勝負

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    先日、彼女にはこんなメールを送っていた。 “ (title)年末 ” “ 仕事今日で終わりなんですね。 年末はどうしてるんですか? 俺は大晦日にライブをやって、 そのまま年越しです。 もし東京に残るなら友達とかの分も チケット用意できるんでライブ来ません?^^ ” きっとこっちに居たとしてもライブには来てもらえないんじゃないかと思っていたが、結局はまぁ結果オーライか。 俺はインフルで寝込んでいるのに俺不在のライブを見に行って他のやつにきゃーなんてなってもらっては困る。 …でも、やっぱなんか凹むな。 付け入る隙が見えない。 会いたいのに、会いたいと言うタイミングが掴めない。 どうにかして彼女の気を引く方法があれば、と思っていたが実際インフルエンザになって恰好のチャンスなのに…。 (…でも、俺がインフルだって彼女に伝えて何になる?) 向こうにとっちゃ、きっと迷惑な話なんだろう。 突然現れた同僚の友人と名乗るどこの馬の骨とも知れぬチャラ臭い芸能人が、なぜか自分に連絡先を尋ねてきて、毎日のように送られてくるのは疑問系ばかりのメール。 寝ようとしてるところに電話をかけてくるし、さらには夜更かしさせた上に次の日の夜、食事に行こうと誘いまでかけてきて…了承して待ち合わせ場所へ行ってみれば、何時間も待たせた挙げ句ドタキャン。 (俺が女だったらメールも着信もとっくに拒否ってるな、) 「あー…我ながらダメすぎて凹む…」 ぼんやり見上げた天井は、窓から差し込む夜の灯りでぼんやりと赤く色付いている。 しばらく見ていれば微かに聞こえる車の音に合わせて光が揺れているのがわかった。 「…はぁ、」 相手のことをただ“ 思って ”接するのは簡単だが、心に“ 想って ”接するのは気力も使うし、妙に臆病になってうまくいかないもんだ。 ジンが初恋だな、と言っていたが、こんな風に相手のことを考えてばかりで苦しいのが” 恋 “ならば、俺はこんなの知りたくなかった。 (うまくいく気が、全くしない…) *
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