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帰宅して、熱を測れば39.1℃もあった。
A型は症状がきついと医者が言っていたが、その言葉通り、熱は上がるわ、頭は痛いわ、関節はギシギシいうわで散々な状態。
処方された薬を飲んで、買い置きしてあったスポーツドリンク片手にベッドへ入った。
そして、数時間。
「う…今何時…」
身体が熱くて目が覚めて、たぐり寄せた携帯の待ち受けには「20:32」と表示されていた。
(…ちょうど明日の流れの確認してるくらいかな…)
今日のスケジュールを思い浮かべて、思わずため息が漏れた。
本当だったらこのあとの時間、俊也と一緒に生放送の特番に出る予定だった。
そして明日の午前には全員で正月放送の歌番組に出て、ワゴンに乗って会場へ移動し、ゲネプロやって、要点確認して、お客さんへのサプライズの打ち合わせをして、ライブ会場からレギュラー番組の年末の挨拶部分を生放送でやってから、本番。
そして本番中に歌番組と繋ぎながらカウントダウン…年が明けてからも1時間くらいステージをやって、年末年始を大きな会場でスッキリ迎えるはずだった。
「…情けなすぎんだろ、これ…」
寝る前にインフルエンザにかかってしまったこと、番組にもライブにも出れなくなってしまったことなどを書いておいたブログには、ファンの子たちからの励ましのコメント、叱咤激励のコメントが多く届いていた。
そして某インスタントメッセンジャーにはニュースで見た、誰々から聞いた等々のコメントと共に、俺の体調を気遣う俳優仲間やグループメンバーたちからのメッセージが届いていた。
そして、家族からも「無理せず」と一言メッセージが入っていた。
ため息混じりにスマホの画面を消せば、真っ暗なディスプレイにぼんやり自分の顔が見える。
ボサボサ頭にいつもの2/3くらいしか開いていない腫れた目。
雑誌やテレビでの作った顔じゃなく、昔からよく見慣れた、寝起きの腑抜け顔だ。
「はぁ……え?誰…うわっ!!」
真っ暗だった画面を鏡代わりに眺めていれば、突然やってきた新着メール。
振動と共にピカッと点灯したまぶしい光に、目の奥がぎゅっとつままれたような感覚がして目を閉じかけたが、表示されたポップアップ画面に驚いてガバッと飛び起きた。
(え、マジ?このタイミングで…)
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