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とんだサプライズで花嫁と花婿は動揺している
「こら、風神、困ってるじゃないの。座りなさい」
「はーい」
手を振りながら席に座る文江
「ヒロミさん、ごめんね、ふーちゃん、こういう人だから」
「知ってる。ゆーこちゃんも大変ね」
暗黙の了解か、満席の席から、文江に話しかけようとはせず、視線だけ送られてくる
「もう、視線が痛い!あたしの麗らかなティータイム。泣けてくる」
そこに、よれよれの服を着た女性が文江を目がけて飛び込んできた
剣を抜く広美
「ちょっと、邪な気持ちがないなら下がってくれる?今、お茶してるの」
スタッフが集まる
「申し訳ありません」
ホテルのスタッフが女性を外に連れ出そうとする
引きずられる形となった女性は叫ぶ
「風神様!フヒトとシホは!あの、母でございます!」
「皆さん、お待ちになって。その方のお話を是非、伺いたいのです」
解放される女性。走ってこちらに向かい、文江に縋り付いた
「あの、フヒトとシホは、そのどうなったのでしょうか!生きていますか!?」
「お母様、申し訳ありませんが、確認させてください。あなたは何処に住んでいて、フヒトとシホを、どうしたのですか?」
「アナザースカイとの国境近くの村でございます。貧しさのあまりフヒトとシホを・・・手放しました。お金と交換で。最低の母です。それでも、知りたいのです。ワガママなのは分かっております・・・」
「嫌な記憶を思い出させてしまって、申し訳ありません。指名手配された今、事実と合致する方とのみ、お話をしたかったのです」
突然、外が騒がしくなった
『陛下ーーー!!』
「え?マジ!?やっべ!隠れるぞ!」
エントランスから慌てて陛下が入ってくるのが見えた
「ヒロミ!風神!ユウコさん!何をしているんだい!?」
息を切らしながら入ってきた
ヒロミはテーブルの下に隠れてる
「ヒロミ、お上際が悪い」
「極刑だけは勘弁してください・・・」
「はぁ、部屋に伏せているかと思えば、この騒ぎだ。まったく、将来の王妃は油断ならんな・・・。しかし、この分を見ると・・・誰も、婚礼には反対しないな。むしろすごい事になりそうだ」
腰に手を当て、溜息をつく
「陛下も、お茶、いかがですか?」
「ヒロミ・・・そうだな。折角、来たのだからな!」
「椅子持ってきます。すいません!アフタヌーンティー1つ追加!!」
ヒロミは奥に逃げた
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