少年と暗道の影

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片手に持った提灯は、巨大な蒼黒に対してあまりにも心細い。 早く帰らなければ、このまま真っ暗に包まれ、二度と抜け出せなくなってしまう。 不安が少年の足を、さらに急がせる。 ふとその時、前方に影が見えた。 深海のごとく蒼の混じった暗闇の中においても、その人影は周囲に交わることなく、くっきりとその存在を誇張していた。 頭が上下二つもあるかのような高いハットをかぶり、マントで身体を膨らませた影は、じっと少年の行く手に立ち、ピクリとも動かず待ち伏せている。 少年は止まらなかった。 戻ることもしなかった。 目の前に得体の知れない奴がいるのは分かってる。 でも、道はここしかない。 今来た道を引き返し、やっと越えてきた山道を再び上がるなんてもっての他。
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