序章

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  全ては、帳尻合わせで成り立つ。 何か一つ減れば、何か一つが増える。 何か一つ増えれば、何か一つ減る。 世界は、箱。ぎゅうぎゅうに詰め込んだ、箱。ぎゅうぎゅうだと、窮屈。空白が、何ヵ所かある。 箱に詰め込む物の数は、決まっている。空白も、数が決まっている。 何か一つ減れば、その箇所だけ空白に。空白は、決まっている数より上または下の数では駄目。バランスが崩れてしまう。 何か一つ減れば、何か一つ増やさないといけない。何か一つ増えれば、何か一つ減らさないといけない。 箱に詰め込む物の数を、減らしたり増やしたりしてはいけない。許可なく、勝手に減らしたり増やしたりすれば、罰が与えられる。 世界は、箱。その箱が入った、箱もある。つまり、星または惑星。その箱が入った、箱もある。つまり、宇宙。その箱が入った、箱もある。つまり、銀河または星雲。 詰め込んだ物が、勝手に環境を壊したりバランスを崩したりしてはいけない。 箱は、理路整然と並び、色は鮮やかで美しい。なのに、幾つかの箱が黒く染まっていく。黒は、美しい色。でも、美しくない黒もある。美しい色を保持または維持する為に、醜い色を消すか再生しなければならない。消した場合、新たな箱を補充しなければならない。 箱の帳尻合わせを一任させられた、一人の神様の話。  
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