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  真っ黒い色の壁に、指先で触れる。 壁がガタガタ動き出して、扉が浮かび上がる。その扉に触れると、文字が現れる。 「人口数と密度、バランスが悪い。」 マスクで口を覆っいる。 扉にあるドアノブを握り、扉を開けて一歩入る。入れば、瞬く間に少年の姿に変わり果てた。 「観察と調査開始。」 少年の姿に変わり果てた、その人は無表情のまま消え失せる。 後に残るのは、静寂のみ。  ――――― …    「ア、ア、アハ、」 小さな赤子の、嬉しそうな声が聞こえる。 「お?森に、赤子か?」 薄暗い森で、喀血した魔物の息の根を止めた老人は、森の奥を見据える。 赤子の声が聞こえる方角に足先を向けて、地を蹴った。意図も容易く、赤子の近くに辿り着く。 赤子は、空を眺めている。 「魔盲か。いや、これは封印されてるの。捨てた親は、浅はかじゃの。」 老人は、赤子を抱き上げる。 また地を蹴って、今度は消え失せた。 老人が息の根を止めた魔物は、ムクリと起き上がった。自分の体の傷が治っている事にも気付く。 『無闇に命を狩るは、世界に不必要。』 無情で、冷酷な声が森を駆け抜けた。 『神は、慢心していた。それは、意味を成さない。既に、神は罰を受け入れている。この世界も、罰を受け入れなければならない。』 姿なき声が、森を震わせる。 風は傍若無人に荒れて、生き物達は隠れていく。次第に、静寂を帯びていく。  
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