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  「聞くけど。どうして知ってるのかしら?」 彼女がお嬢様言葉を使う時は、不機嫌になっている時。 答えれば、魔法を放つ。至近距離で当たれば、大怪我を負う。答えなくても、魔法を放つ。態度が気に食わないと、理由を後付けにして。 黙っていれば、ほら魔力を練っている。その魔力を込めた魔法を、至近距離でリールに向けて放った。リールは、少し避けて肩に当たる。 激痛が走る、焼かれていく。その場に踞(うずくま)れば、頭上から彼女の高笑いが聞こえる。 「死んでしまいなさい、穀(ごく)潰し。魔力が少ないのに、テストで満点だなんて。私より上にいる事を許した覚えはないわ!」 踞るリールに、新たな魔法を放つ為に魔力を練る。 新たな魔法を放つ瞬間、彼女は後方に投げ飛ばされる。 「い、痛い、。誰!?邪魔したのは!」 頭を上げれば、目線の先にいたのは見覚えのある後ろ姿。 その後ろ姿の人は、ゆっくり振り返る。 「誰が許したって?貴様の愚かな行為で、赤子の話は消えてしまったではないかっ!」 魔法を放ち、彼女を更に吹き飛ばす。 「お、お父様、お許しを。」 娘の声を無視して、リールを見遣れば老人が必死に呼び掛けていた。 「リール!嗚呼、何と言う理不尽じゃ。何と言う事じゃ。リール、儂の孫よ。ただ一人の家族なんじゃ。誰か!助けとくれ!」 普段から聞かない老人の大声に、近所の人が集まり始める。 「あらやだ。リール!?誰がこんな怪我を?ちょいと待ちな。」 その女性は、治癒魔法を施していく。 「おい。誰か!ギルドマスターを。」 その声に反応して、転移する気配が。 困り果てたのは、サラの父親。娘の愚行で、赤子の話は白紙になってしまった。それどころか、娘だけでなく自分も罰せられてしまう。
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