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「遅くなりました、すいません」
「いや、丁度良かったよ」
御形が抱えている、モココに目が行った。
「モココ?」
「勝手に車に乗せていました。海を散歩させてきました」
苦しい言い訳だったが、御形の父は、遠野家に挨拶をすると車に乗り込んだ。
「どこから連れてきたのだい。それとも、モココ、飛んできましたか?まあ、いいでしょう」
それ以上の追及がなくて良かった。
でも、正直に海に行ってから、泣き声のする洞窟に偶然行ってしまい、モココに助けられて成仏させた経緯を話した。
「そう、大変だったね。人間は、業が深いね」
もう一つ、奥ノ院から感じた、中学生くらいの少年は何だろうか?御形が、持ってきていたパソコンで調べ初めていた。
「家出があるね…昔ではない、最近のことだけど」
霊感はないので、最近なのか昔なのかも判断がつかない。
御形があれこれ説明してくれたが、俺は力を使い過ぎた。凄く眠い。後部座席で、爆睡してしまっていた。
夜、直哉に状況を説明していると、蓮から電話が掛かってきた。
週末に問題の土地に行くので、一緒にどうかという問い合わせだった。直哉には、サッカーの練習があるが、今度の土日は自首練習となったらしい。直哉と一緒に行くと告げると、御形はどうかな?と珍しく蓮が聞いてきた。
確かに霊の見えない俺と直哉では、先行きがあやしい。
「御形か…」
お目付け役という感がある。
「行くよ」
どこから聞いていたのか、御形がドアから顔を出していた。
「どこで聞いていた?」
いつも、タイミングが良すぎる。
「たまたま、トイレに行っただけだ」
また、置いてゆくつもりだったなとか、過去の色々を御形が持ち出し愚痴っていた。御形が優れているというのは人間的にであって、人間よりやや離れている俺達から見ると、御形は守らなくてはいけない存在となる。守れる自信がないときは、安全な場所に置いていきたくなるのだ。
今回は、複雑になっているが、普通の霊が相手なので、どうにかなるかもしれない。しかも、人間相手ならば、御形のスマイルは役に立つ。御形も一緒に行く、で、決定した。
そして、この事件の攻略方法の検討会になってしまった。
まず、洞窟。迷宮であろうが、直哉が居る限り迷宮ではない。
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