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何故、こんな時に死んだのだ。有働の体には、ロープの跡。別れ話がこじれたのだ。有働は、もう別れようと言った。嫌だった、可愛い後輩だった、気が付いたら、相談相手からもっと信頼されたくなり、恋に落ちていた。
なのに、別れようなんて言うから。
怒りに任せて縛った挙句、抱いてしまった。その後、行方不明の話を聞いた。
不審死で、解剖なんてされたら、どうなる? 愛し合ったばかりの体で、洞窟なんて向かって。
俺には、妻も子供もいる。学校にも、関係を知られたくない。相手は誰だと、詮索されたくない。
死体を探して運んだ、田中の思念だった。
何故、田中が死体を隠したのかは、何となく想像できた。この田中の思念を辿ってゆくと、海へ抜けていた。
「あっ」
御形と目が合った。田中の思念を追ってしまったので、先ほどの、有働発見の場所の近くに来てしまっていた。
探していたのは、遠野が落ちた場所だった。洞窟に戻ろうとすると、走ってきた御形に腕を掴まれた。
「何で、一人なんだ?」
御形に、説明をしていなかった。山上旅館のこと、野島のことを手短に話した。
「でも、一人は危険。俺も行く」
「御形。まだ、警察に呼ばれているだろう?」
警察が、こちらを見ていた。
「終わった」
終わったはいいけど、洞窟の中に消えてゆくってのは、どうかと思う。
「君たち」
ああ、やっぱり不審だろう。
「帰るなら乗せてゆくよ」
「大丈夫です」
御形のスマイルが炸裂していた。
再び洞窟の中に戻ると、今度は、遠野の思念を探す。
入ってみて分かったが、この洞窟を一人で歩くというのは、すごい度胸だった。
ライトが無かったら、恐らくこの洞窟から出られなくなる。
「なあ、御形。今日、蓮の祖母の家に泊まらずに帰るか?」
具合が悪いのに、泊まったら申し訳ない。幸い、野島と有働は見つけている。後は、遠山の件だけだ。日を改めてもいいかもしれない。
「それでも、いいよ」
水が多いので、あちこちから過去が見える。その中から、遠山のものを探していた。
ガツン、頭に大きな衝撃があった。
「痛い」
ぶつけたか?頭を押さえたが、何も無かった。
「どうした?黒井」
御形がライトを俺に向ける。俺は、翼があるので、ほんのり明るい。続けて、ガツン、ガツンと頭に射すような痛みが走る。次に心臓に痛みが来た。
「これは…呪いだな」
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