第1章

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 心配させてしまった、御形の両親にひたすら謝った。御形の両親は、一穂良かったね!などと笑っていたが、朝から騒ぎを起こしてしまった。   風邪は治ったからと、学校に向かったが、その道中、非常に不機嫌な御形が居た。  電車のつり革に捕まりながら、御形はこちらを向く事はない。 「今日のスケジュールは何だ?黒井」  それでも御形、俺と一緒に学校に向かってはいる。 「今日は、放課後すぐに蓮の占いの館に呼ばれている。夕食には御形の家に戻る。それから…」 「時間、取れないかな?」  御形が怒る理由は、山のようにある。 「母の手伝いは断ります。蓮の所に行ったら、帰ります」  笑顔の無い御形も怖い。多分、笑顔でも怖い。  学校に到着すると、御形の愛想笑いは復活したが、教室に到着するとぐったりと疲れてしまった。 「お疲れね」  前の席の荒川が、俺と直哉を交互に見ていた。 「あれこれ、あって」  そう言えば、もうすぐ期末試験のような気がする。バイトもほどほどにしなくてはいけない。これでも、進学希望なのだ。俺の、静かに暮らすという未来設計が狂ってしまう。 「今日、本当に珍しく、御形の機嫌がすこぶる悪いけど、君らのせい?」  荒川に気が付かれる位に、御形の機嫌が悪いのか。 「あ、それとは別件だけど、中学時代の仲間がさ、気持ち悪い人物が居るから、どうにかして欲しいと言っていてさ」  未来が見えるような奴がいる。でも、予知能力者ではなくて、ごく平凡な容姿で、ごく平凡な学力であり体力。でも、大事故は必ず当ててくる。こいつは、予言ではなくて呪いをかけていると、周囲が怖がっているらしい。 「ふうん」  呪いでも、俺は太刀打ちできない。 「人間相手は、俺の範疇ではないよ」  授業には間があるので、僅かでも眠ろうとすると、荒川がそれを止めた。 「それがさ、朝、この学校の近くで、そいつを見たんだと。黒井と雑賀の名前を出して、どこに居るとか聞いてきたのだそうだ」  俺と、直哉? 「とにかく、気を付けろよ」  今は、とりあえず御形の機嫌をどうにかしなくてはいけない。  放課後、急いで蓮の居る占いの館に行くと、そこで待っていたのは有働の家族だった。 「見つけていただき、ありがとうございました。あんな寒いところに、ずっと一人で居たなんて、早く探してあげたら良かった」
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