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恭輔、御形に最終的には懐いていた。もしかしたら、御形で合っているのかもしれない。そうすると、御形が俺を守るのは誤りで、直哉を守るのが正しい。
「…奥が深いな」
御形、俺に執着しているつもりで、本当は直哉に執着しているのかもしれない。
「全く」
「ボクもきっと守護者だよ」
一穂がとんでもないことを言い出した。俺は守護者などという言葉は、口に出していない。
「誰の?」
「二人のだよ。二人揃った時の守護者だよ。無茶しないようにって、君たちの、もう一人の親友がつけた」
もう一人の親友なんて、一穂が知っていていいことではない、と、すると、犯人は分かる。
「一穂を霊媒に使うな。一穂はただでさえ、共鳴が強い」
俺達には確かに、もう一人親友が居た。
「君たちが、全く帰る気配を見せないから、呼びにきただけだよ」
最強の天使としか言えない。名前も出せない程、地上に影響力がある。親友とは言うが、そもそも格が違い過ぎる。
「今、帰るつもりはない」
それに、こいつの執着のせいで、天界から出されたという経緯もある。こいつは、俺と直哉を檻に閉じ込めて、部屋の飾りにしていた。
俺達が誰かに触れられるのも、俺達が誰かに見られる事も嫌だと、その最強の力を使うのだ。
「早く、帰れ。一穂が弱る」
「君たちは、私が守るべき者だろ。とても弱いが、美しい」
弱いと言うな。少なくとも、平均よりかは、強かった。でも、最強と称される存在に、それを言ってもムダだろう。
「一穂に何かしたら、お前の元には二度と近寄らない」
スパッと、気配が消えた。檻に閉じ込めるなどと、親友がすべきことではない。
「帰ったな」
ぐったりと、一穂が眠りに落ちていた。当分、一穂は高熱かもしれない。
「民宿のバイトだな。思いっきり滑って、ウサ晴らしてくるか」
親友。暗闇の中で、太陽のようだった存在、誰もが憧れ、近寄ろうとしていた。でも、俺は直哉とひっそりとでも、平和に暮らしていれば満足だった。翼はレアで扱い難いかもしれないが、温かい。直哉が文句を言いつつも、翼の面倒を見てくれていた。仕事もそこそこあったし、能力もそこそこあった。何も不自由していなかったし、満たされていた。あいつが来るまでは。
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