第一章 海の祠

11/28
前へ
/263ページ
次へ
「霊になっているということは、 亡くなっています」  蓮が、下を向いたまま告げる。 女性は驚かなかった。 「分かっております。五年、連絡もありません。 これで、生きて失踪していると言われた方が、 辛かったかもしれません、 だから、死亡でもいいのです」  孫ならば生きていて欲しいのではないか。 何かあったのだ。 「死体はどこに在りますか?」  直哉が千里眼で場所を特定し、 地図と大雑把だが住所を書いたメモを、 蓮に渡した。 蓮は、書かれている住所を見て、 再び激しく動揺していた。  俺は、そっと直哉から住所を聞き出す。 昔聞いた事がある、 蓮の育った土地に近かった。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

299人が本棚に入れています
本棚に追加