第一章 海の祠

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 蓮が動揺して言葉が出ない、 これでは、話が先に進まない。 俺は、カーテンの後ろから、 そっと中に入り込んだ。 「アルバイトの黒井です」  この際、占いを嘘にして信じて貰おう。 「後ろで、調査しています。 占いですが、全てが生年月日や星座ではありません。 統計論だったり、 調査の積み重ねです」  蓮は、俺の姿を見て安心したのか、 一気に疲れがきたようで、 イスにどっぷりと腰かけた。 「孫は有働 優一(うどう ゆういち)中学教師。 地元の祭りの日に、 奥ノ院と呼ばれる洞窟の中で事故死したようです。 ご遺体は今もそこに在るかと思われます」  直哉の地図を見る、 地図からは洞窟の中なのかは分からない。 「ご遺体を探すのは、警察でも構いません。 伺いたい事があります、 何故五年経った今なのですか?」
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