第一章 海の祠

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 今日の蓮の服装は、 黒いマントにフードだった。 雰囲気が大切なのだそうなのだが、 薄暗い中で、 全身黒いとなるとまるで死神のようでもあった。 「あの、五年前に行方不明になった、 孫を探しております」  相談者は、年配の女性だった、 占いの館の雰囲気に馴染めないのか、 首を傾げて周囲を見ては、立ち上がりかける。  相談する相手を間違ったと、 後悔しているのかもしれない。  蓮は、相談者に合わせて対応するため、 電気を付けた。 蝋燭の火も消して、 真面目に相談に乗るという態度を見せる。 「お若いのですね…」  蓮の本業は、大学生だった。 生活費のため、 俺達は日々働いている。
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