第一章 海の祠

8/28
前へ
/263ページ
次へ
「有働先生ですか…」  蓮の顔が青冷めていた。 仲間の過去を見ることは反則だ、 やっていいことではない。 再度霧吹きを飛ばし、 今度は霊の過去を探す。  室内のどこかに霊がいる。  海の景色がチラチラと揺れていた。 学校に向かう道の横に、 海がいつもあった。 挨拶をする学生が、 自転車で追い抜いてゆく。 晴れた日は、 徒歩で登校するのが日課になっていた。  地域の遺跡や歴史を調査し、 まとめながら発表するのが趣味だった。 祭りの日、 普段は公開されない寺社の奥ノ院が開く。  地元の生徒たち曰く、 奥ノ院は洞窟の中にあって、 洞窟は、全部、海に続くが迷路だと言っていた。
/263ページ

最初のコメントを投稿しよう!

299人が本棚に入れています
本棚に追加