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立っている状態のままでゆっくりと頭上から文字通り眩い光と共に降臨した美人は、俺の前に静かに着地をすると俺の顔を真っ直ぐに見つめて口を開く。
「貴方に大切なお話とお願いがあります」
凄く透き通っていて綺麗で心が落ち着くような声音だった。
「えっと。宗教の勧誘ですか?いきなり知らない人の頼みは聞けないです。ごめんなさい」
が、それとこれとは話が違う。
いきなり現れた美人。しかも、登場の仕方があんなので誰が話を聞けるものか。
そんな話を聞いたら絶対に痛い目を見ることになる。
大体アレはどうなってんの?ピアノ線?
しかし、美女の背後やら頭上を見るもただただ白い空間が広がっているばかりだった。
なにそれ、全くわからない。
「そんなことを言わずに話を聞いて下さい。葛城 啓人(かつらぎ けいと)さん」
美女は全く諦める素振りを見せず、柔らかな表情を浮かべ、俺を真っ直ぐに見据えたままでそう言った。
えっ、なに?俺の名前なんで知ってんの?
ストーカーですか?やだー。
「ストーカーではありません。この世界で知らないことはありませんよ?何故なら私は神だからです」
俺の心を読んだのか、美女はそんなことをのたまう。
ストーカーだと思ったら精神異常者だったでござる。
「むっ!!失礼ですね。精神異常者でもストーカーでもありません。私の名前……どの名前をお教えすればよろしいのかはわかりませんが、そうですね、貴方の国では天照大御神……?いや、伊邪那美神……?神話というものは複雑ですから、どう言えばいいのかわかりかねますが……どうも、人間と言うのは私達を形容することにおいて……」
美女はくどくどと何かを話し続けているが、全く意味がわからない。
真性の人なんですね、わかります。
「あ、今のは神聖と真性を掛けたのですね!?」
掛けてねえよ。
くどくどと意味のわからない話をしていた自称神な美女だったが、俺の思考を読んだのかドヤ顔を披露していた。
「こほん。話が逸れてしまいましたが、葛城 啓人さん。私は貴方に大事な話があるのです」
ドヤ顔にジト目を向けていたら、少しだけバツの悪そうな顔をした後、美女は咳払いをひとつし、真面目な顔でそう言った。
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