はじまり

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「話があると言われましても、全く身に覚えがありませんですし、怪しいですし」 話があるとしつこく言い続ける頭のおかしい美女にそう言ってやる。 「怪しくないですし、頭おかしくもありません!!失礼ですよ!!」 すると美女は少しイラッとした表情を浮かべたあと、再び口を開く。 「わかりました。貴方が私のことを信じて頂けないのであれば、信じざるを得ない話をしましょう」 そして美女は少し落ち着いた表情を浮かべてそう言ったあと、ぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始める。 俺の生い立ち、好みの女性のタイプ、性癖、両親の馴れ初めなどなど。 なんでそんなことを知ってるの?と言ってしまいそうになるほどのことを次々と。 「あと、あれですね。ほら、貴方が今よりも少し若い……中学生の頃ですか、やたらと黒っぽい服装を好んで、周りを見ながらよく、「ふっ、まだまだこの俺の能力に……」」 「やめてー!!」 美女の言葉を俺は叫ぶことで断ち切る。 黒歴史をほじ繰り返すのは反則だと思います!! 「いやぁ、あれは中々に凝った設定でしたよ」 そんな悶える俺に美女は凄くいい笑顔を向けてきた。 ……殴りたい、その笑顔。 まさか、俺の黒歴史をえぐってくるとは……。誰にもバレてないはずなのに。 これ以上は俺のライフ(精神的)がヤバイ。と判断した俺はとりあえず話を聞くだけ聞くことにした。 「はいはい。やめやめ!!その話はおしまい!!で、話ってなんですか?」 「よくぞ聞いてくれました!!」 にっこり微笑む美女……自称神(笑)と話を聞こうと思った自分自身を俺はとりあえず助走をつけて殴りたい。
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