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願いのない夕暮れ
「その願いは聞き届け――」
突然のドラムロール。
十年並の煽り方だが、何処と無く重低音を重視したドラミングから導かれる緊張感を、是非もなく聞かされる側の身になって頂きたい。
っていうかどっから流れてんのこれ。こんなに安っぽい奇跡とかありましたっけ。
「られませんでしたァ!」
「勿体ぶってんじゃねーぞオラァ!」
そしてこの扱いである。
期待するだけさせておいて叩き落とす様な態度とか、目の前のそれが『神様』に類するものじゃなかったら俺は多分殴っていた。
ていうか『神様』て。
ひと昔前の宗教家が名乗った程度のものを余裕綽々に自称するとか、ここでやることなのかと突っ込みたい。
そうでなくとも、境内から思わせぶりに顔を出した時なんぞは浮浪者の類かと思って反射的にシャープペンを投擲したぐらいである。
無縁の神仏の拠り所を住処と借り受けることと、そこを意図せず傷つけることとどちらが罰当たりなのかは、この際気にするだけ無駄なのだろうが。
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