違う個体

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「そうか 人間は、食が偏っただけで死んでしまうのだったな。 なんと面倒な生き物よ」 ハァと、溜め息を吐くコウ 「申し訳有りません」 何だか申し訳なくなり、謝る。 コウは、このグロテスクな肉片が有れば十分なのだ。 「解った。 明日は、草と魚も用意しよう しかし、今は、これしかないのだ。 我慢しろ」 そう、言うコウに 春樹は、渋々頷しかなかった。 魚は、いいが 草は、ちょと… そう内心で思うが コウがイラつき始めた様なので 口には、しなかった。 コウは、優しいのか 怖いのか 未だに、良く解っていない 出会ったばかりだから仕方ないが 何で俺を助けてくれたんだろう… もしかして、何かの童話みたいに太らせてから食べる気なのかも そんな事を考えて春樹は、ブルリと震えた。 「どうした 寒いのか? 人間は、温度調節も大変だな」 コウは、クスッと笑うと 春樹の後ろに回り、ギュッと春樹を抱き締めた。 「あう…コウ? 寒くないですよ? そして、食べにくいです」 眉を寄せる春樹 寧ろ、コウに後ろを取られるとなんて 更に寒気がするようだ。
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