訪問者 #2

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「いい悲鳴だね。 良いなぁ、恐怖に歪んだ顔 堪らないよ。 王が入れ込むのも解る。 人間にしては、良い匂だしね」 クスクスと笑い 腰を抜かした春樹に合わせる様に、膝を曲げる得体の知れない化け物 「アウアウ、俺…貴方を救う事は出来ません 見えるけど…それだけで…」 完璧に幽霊だと思い込んでいる春樹は、テレビで聞いた『幽霊には、貴方を救う事は出来ないと、ハッキリ言いましょう』的な胡散臭い台詞を思いだし 声を振るわせつつ、何とか声を絞り出す。 「お前さぁ、目障りなんだよ。 王の子供を孕むのは、俺様って生まれた時から決まって…」 「おい、貴様なにしてる! さっさと私のハルキから離れろ でなければ、今直ぐこの御粗末な首を切り落としてくれるぞ」 幽霊の声を遮った冷酷な声は、春樹ではなくて いつの間にか戻って来ていたコウが、幽霊の喉に長い己の爪を押し付けていた。 幽霊の首筋が軽く切れ、赤い血が伝った。 いや、切れたと言うことは 幽霊ではないのか しかし春樹は、コウに気を取られ そんな事には気付かない 「コウ!」 「王!」 春樹と化け物の声が被る。 「誰が貴様なんかに私の子種をくれてやるものか さっさと消えろ!」
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