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コウが出て来たら
最後に『愛してる』って伝えよう
出て来なければ
このまま餓死しても良い。
そしたら
コウは、俺を食べてくれるだろうか…
骨だけで食べる所なんて無かったら嫌だなぁ
頭の何処かで、そんな事を考えた。
それから何日したか
意識が朦朧とし
春樹は、いよいよお迎えが来そうになっていた。
ああ、もう駄目だ
最後にコウに一目会いたかったな…
そう思った時
ユックリとコウの部屋の扉が開いた気がした。
春樹は、初め『幻』かと思った。
自分が、あんまりにコウに会いたいと願った為に
そう見えているだけたのだと
そして、続く様にコウが姿を見せたのだ。
ああ…
もう、幻でもいいや
春樹は、虚ろな目でコウを見つめる。
「ハルキ!?
なっ、貴様…何時からそこに!?」
驚いたコウは、春樹の幻等ではなくて
春樹を抱き締めた。
「………」
春樹は、『愛してる』を伝えようと
口を動かしたが
カラカラの喉では、声も発する事も出来ない。
「水も口にしなかったのか?
何故こんな事を!!」
コウは、顔をしかめ
春樹の唇に口付けを落とした。
自分の唾液ならば、ある程度の血流や餓えを養えるはずだ。
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