絶食

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コウの呼び掛けに春樹は、取りつく島もなく 部屋へと上がって行ってしまう。 コウは、シュンとしつつ 寂しくも、一人で風呂に入るのだった。 自室に入った春樹は、ハァーと 一人、溜め息を吐いた。 実は、春樹とてコウともっとスキンシップをしたいのだ。 しかしコウは、最近やたらとモウモウとしている様だし 彼自身、子供は要らないと言っているのに やはり、間違いが起きたらと思うと… 自分は、嬉しいのだが もしかしたらコウにとっては、酷く嫌な事かもしれない。 コウの子供を生みたいと言った時は、深く考えていなかったが どっちにしろ コウと自分では、寿命の長さが違い過ぎる。 自分がヨボヨボのお爺さんになったとしても コウは、今と変わってはいないだろう そう考えると春樹は、恐ろしくなった。 俺がヨボヨボのお爺さんになっても コウは、一緒に居てくれるだろうか… やはりコウとは、一緒に居るべきではないのかと 春樹は、頭を押さえ ベットに倒れ込んだ。 コウと一緒にいたい。 キスしたいし、抱き締め合いたい。 それでも… コウと一緒に居れば居る程 言い知れぬ不安に襲われるのだ。 俺は… どうしたら良いのだろう。
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