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その、答えの見えない深海の様な悩みに
春樹は、身を投じていた。
コンコン
部屋のノック音で目を覚ます。
春樹は、どうやら寝てしまっていた様だ。
ドアを開ければ其所には、他でもないコウの姿
当たり前か
2人暮らしなのだから
「ちゃんとノックを覚えたんですね」
そう言って
春樹は、コウに笑い掛けた。
何度も言って覚えさせのだ。
何しろコウは、ノックせずに入ってくるごときの話ではない
音もなく入ってくるのだから
春樹は、その度に心臓を止めかけた。
「ああ、風呂を上がったと伝えに来ただけだ…」
何処と無く寂しげに、不貞腐れている様にも見えるコウが可愛く見える…
コウが可愛く見えるなんて
自分は、もはや末期だと
心の何処かで自嘲する春樹。
「有難うございます。
じゃあ、俺も風呂に入って来ますね」
そう言って
コウを吹っ切る様に歩き出した春樹だったが、直ぐに行く手を阻まれてしまった。
勿論、コウの図体でだ。
「何ですかコウ?」
不機嫌に声を出せば、突然
ガシッと、抱き締められた。
「もう堪えられん!
何ぜそう突っ慳貪なのだ。
ハルキが直せと言った事は、ちゃんと直しているのに…
私が嫌いになったのか!?」
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