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恨めしそうに春樹を睨むと
そう言い残し、春樹に背を向けてしまった。
「コウ!違うんです
俺はっ…」
慌てて弁解しようとする春樹だったが
コウは、素早く自室に入ってしまい
バタン!!
と、力一杯ドアを閉めると
一切、出て来る気配は見せない。
春樹も引き留めた所で、何と言って弁解しら良いのか
全く思い付かなかった。
ただ
コウの閉じ籠ってしまった部屋の扉にもたれ掛かり、泣く事しか出来ないのだ。
『コウが好き過ぎて不安なんです。
貴方を愛している』
等と、口に出来る訳もない。
そんな事を言ったら、コウを困らせてしまう。
もしかしたら
ウザがられて、捨てられてしまうかも知れない。
俺は、コウと居られるなら
例えコウのペットだとしても…
それでも良いのに…
ペットならば、例え御主人様を愛してしまっても
叶わぬ恋と気付いても
御主人様から距離を置くことなど無いだろう。
ましてや逃げ隠れするなど…
俺は、コウのペット失格だ。
春樹は、ハハっと自嘲する。
もう
コウに『出てけ』と言われた様なものなのだ。
もう、どうなっても良いや
春樹は、そのままコウの部屋の前から動かなかった。
動けなかった。
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