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その後、新太と連絡が取れ空き教室で合流した。
「このあとどうする?」
「咲良ちゃんのクラス行きたい」
「あー、優子の妹か。そうだね、そこ行くか」
「…あれ」
ポケットに手を入れて、何かを探している龍也。
「どした?」
「あ、いや家の鍵落としたっぽい」
「落とした覚えないの?」
「ちょっと探してくるから先行ってて」
龍也はとりあえず中庭から見ていくことにした。地面を見ながら歩いていると、何度も人とぶつかりそうになった。
「ない、」
「何やってるんですか?」
顔を上げると、エプロンをつけた在学生。
「さっき、クレープ買ってくれましたよね?」
「あ、うん」
その子はクレープを売っていた1年生だった。
「他の人はいないんですか?」
矢継ぎ早に質問をしてくる彼女に困惑しながらも龍也は答えた。
「…鍵見てない?」
「鍵、ですか?んー、見てないですねー。あ、もしよかったら私も一緒に、」
「見てないならいいや、ありがとう」
女の子の言葉を遮り、また龍也は地面を見ながら歩き始めた。
あと思い当たるところは、屋上だが先ほどの女の子がいると思うとなるべく近づきたくない。
龍也は誰もいませんようにと祈りながら、屋上に向かった。
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