第1章

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屋上の扉を静かに開けて、外を伺う。 「さすがにもういないか」 屋上には誰もおらず、静かな風が流れている。 「あ、」 屋上の扉の近くに鍵は落ちていた。龍也は鍵を拾うと、屋上の柵の近くまで行った。 下を見ると、文化祭で盛り上がる人がたくさん見える。 龍也は柵に寄りかかるように座り、小さく息を吐いた。龍也が極度の女嫌いとなった原因は中学1年の時の出来事だった。 当時、龍也には中学3年の彼女がいた。たったふたつの年の差だがとても大きく、龍也にとって彼女は知らないことをたくさん教えてくれる憧れのような存在だった。 容姿も綺麗で大人っぽい彼女は学校でも人気の人で、龍也は夢のような日々を過ごしていた。 ある日、所属していたサッカー部が顧問の休養で急遽休みになった。龍也は急いでジャージから制服に着替え、彼女が待つ教室に向かった。 何も連絡せず、驚かそうと思っていた。今日は早く帰れるから、どこか遊びに行こうよって、喜ぶ彼女の顔が見たかった。 教室の前につき、息を整えドアを開けようとしたとき中から彼女と彼女の友達の声が聞こえた。 「そういえばさ、最近彼とどうよ」 「彼?」 「ほら、1年の仲田くん?だっけ」 「あー、可愛いでしょ?あの子。ペット的な感じ?つれて歩くと絵になるし」 「なにそれー、ひどすぎー」 楽しそうに笑う声が聞こえる。 「てか、彼氏高校生でしょ?いいなあ、羨ましい」 「やっぱさ、付き合うなら年上がいいよ。中学生なんてガキすぎて無理」 それ以上話を聞くのが辛くて、龍也は静かにその場を離れた。
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