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それからすぐに龍也は彼女に別れを告げた。
「もう終わりにしよう?」
「え…?なんで?わたしのこと嫌いになったの?」
ぽろぽろと大粒の涙の流して、龍也にすがる彼女。
「違うよ、由里ちゃん、好きな人いるんでしょ?」
「…何言ってるの?」
「由里ちゃんといれて楽しかったよ。ありがとう」
「…誰に聞いたの」
「何が?」
「高校生の彼氏がいるってだれかに吹き込まれたんでしょ」
さっきまでの溢れんばかりの涙はなく、怖い顔で龍也を見る彼女。
「…聞いたよ?だから、もう俺はいらないでしょ?」
それから彼女とは一度も話すことなく、彼女は中学を卒業していった。
龍也の初恋は最悪の形で終わることとなり、そこから龍也の女嫌いが始まった。
そのことを知っているのは、同じ中学だった海斗。そして高校から仲良くなった新太と円。
ブーブー
昔の記憶に浸っていると、携帯が鳴った。
「もしもし」
『あ、龍也?お前、どこにいんだよ』
電話の相手は新太だった。なかなか戻ってこない龍也にしびれを切らして、電話をしてきたのだろう。
「今、屋上。すぐ、戻るよ」
電話を切って、立ち上がった。パンパンとズボンについたほこりを払い、屋上を出た。
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