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「だから、お前きてもつまんないでしょ?」
名刺をしまおうと手を伸ばすと、その手を掴まれた。
「なに、」
「女嫌いの龍也がホストって、どんなだよ」
疑いの目で見てくる大河。
「女嫌いでもホストはできるの」
納得していない顔で手を離した大河。龍也は名刺を鞄にしまった。
「あー、でもホストか。いいなあ、女の子と喋って、金もらえるじゃん。俺もやろうかな」
「大河、喋るの好きだしホスト向いてんじゃない?」
イチゴオレを飲みながら、適当に龍也は答える。
「てか、大河次授業じゃないの?」
時計は授業3分前を指していた。
「え、もうそんな時間?つか、龍也は?」
「俺、次の授業とってないよ」
「は?まじかよ!」
慌てて荷物をまとめる大河。片っ端からリュックにつめていく。
「じゃあ、俺行くわ!バイトない日は言えよ!」
走り去る大河をぼーっと眺める龍也。午後はひとつしか授業がなく、それが始まるまでもまだ時間がある。龍也は食堂を出て、中庭に向かった。
外はまだあたたかく、心地よい風が吹いている。中庭でぼーっとするのも悪くない。
中庭には、授業中ということもありほとんど人はいなかった。
龍也は空いていたベンチに座ると、そばに白い猫がいることに気づいた。
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