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その白い猫は気持ちよさそうに伸びをして、ベンチの横に座っていた。
「お前もひなたぼっこしてるの?」
龍也は猫を持ち上げて、膝に乗せた。はじめはびっくりしていた猫も優しく撫でると、すぐにおとなしくなった。
「…っ、くしゅん」
猫を撫でていたらくしゃみが出た。
「風邪かな」
ブーブー
「あ、円ちゃんだ」
ディスプレイには円の名前が表示されている。
「もしもし?」
『りゅうくん?今、大丈夫?』
「大丈夫だよ」
『良かった。あのね、今日夜空いてないかな』
なんだか声のトーンが低い円。高校を卒業しても、ふたりの関係は全く変わっていない。
「いいけど、新太はいいの?」
『…知らない』
一瞬言葉に詰まった円。こういうときは決まって新太となにかあったのだ。
「喧嘩したの?」
『…そんなんじゃないよ?でも、』
「分かった。今日バイトだからshineきてもらってもいい?」
shineは龍也のバイトしているホストクラブの名前だ。
『あ…、りゅうくん今日バイトなの?じゃあ、別の日でもいいよ?』
「どうせ平日だし、そんなにお客さんこないよ。待ってるからさ、おいでよ」
『…ありがとう、りゅうくん』
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