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その日の夜、龍也は繁華街を歩いていた。繁華街の一角にあるビルの地下に入ると、黒い扉がある。龍也はそこに入っていった。
「おはよーございます」
「翔おはよー」
ひとつこの扉の中に入れば、龍也ではなく翔となる。
龍也はロッカールームでシルバーのスーツに着替え、手慣れたように髪をワックスでセットしていく。
「あ、龍也おはよ」
shineの中で、唯一龍也と呼ぶのは彼のおじである和樹だ。
「おはよー。あ、ねえ今日俺の友達くるけどいい?」
「いいよ。ただし混んでるときはしっかり働いてもらうからな」
「はーい」
「あ、そうだ。ミネラルウォーター切れそうだからさコンビニ行って適当に買ってきてくんない?」
「えー、」
「頼むよ。今日黒服人手足りないんだよ」
手を合わせてお願いをされ、既に支度も終わっていたため、龍也は渋々お店を出た。
外は徐々に人が増えていた。人混みを避けるため、龍也は細い路地に入った。
「…ん?」
路地の先にスーツを着たおじさんが制服を着た女の子の腕を掴んでいる。
「つか、うちの制服じゃん」
その女の子は旭ヶ丘高校の制服を着ていた。
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