第2章

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「家出したんでしょ?おいしいご飯食べさせてあげるよ」 「っ、そんなんじゃありません!離してくださいっ」 めんどくさい、 龍也の頭にはその一言しか思い浮かばない。繁華街に制服で来れば、変な男に声を掛けられるなんて分かり切ったことだ。あの子は可哀想だが自分には関係ない。 龍也はそのまま通り過ぎようとしたが、女の子は男の手を振り解き、逃げたところにちょうど龍也がいてぶつかった。 「いって、」 「あ、ごめんなさい!」 「いいよ、別に」 ぶっきらぼうに返す龍也に彼女はとんでもないお願いをした。 「た、助けてくださいっ」 「は?」 彼女は龍也の背中に隠れ、腕を掴まれる。 「お兄ちゃん、その子わたしにくれるかな」 中年男は気持ち悪い笑みを浮かべながら龍也に近づいてくる。龍也の腕を掴む彼女の手が震えていた。 龍也は小さくため息をついて、呟いた。 「めんどくさ、」 龍也は彼女の手を掴み、歩いてきた方向に走り出した。 「あ、おい!」 後ろで男が叫ぶ声が聞こえたが、龍也は構わず走った。 「ここまでくれば、大丈夫か」 細い路地から人通りの多い通りまで逃げた。 「はあ、はあ、はあ」 龍也の隣で息を整えている彼女。 「すぐそこ駅だから。まっすぐ帰れよ」 龍也はそれだけ言い残し、再びコンビニに向かった。
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