第2章

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「すいません、翔さんご指名です」 タイミング悪く黒服に言われる。 「ごめん、もう少し待ってもらえないかな。指名してきたのって誰?」 今の状態の円をひとり置いていくわけにも行かず、龍也は黒服に尋ねる。 「翔さんのお友達と言っています」 「友達?」 黒服の指すテーブルを見れば、海斗、大河、そして新太がいた。 「まじか、」 「どうしましょうか」 「りゅうくん、行ってきて?せっかく指名してくれたんだから」 まだ指名してきた人が誰か分かっていない円は笑顔で言う。 「いや、でも、」 「あれ?円?」 龍也がなかなか席を立たないことに疑問を持った海斗がこちらを見て、円がいることに気づいた。 「最悪、」 龍也は顔をしかめて、海斗を呼んだ。 「なに?」 円にも新太にも聞こえない距離のところに海斗を呼んだ。 「なんで新太もいんの」 「円のことで相談あるって言われてさ、お前もいた方がいいだろと思って」 「俺、円ちゃんから新太のこと相談乗ってたんだけど」 「まじ?ごめん、先連絡しとけば良かった」 「いや、いいよ」 「りゅーやー、何やってんだよ。早く来いよ」 がしっと肩を掴まれ、振り返ると大河がいた。 「つか、なんでお前いんの」 「海斗に連れてって頼んだ」 もはや呆れてため息も出ない。
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