第1章

4/13
前へ
/84ページ
次へ
くだらないことを話しながら、待ち合わせ場所であるカフェに向かった。 「あー、なんか腹へったな」 「もうじきお昼だもんね」 「すいません。芸能界とか興味ありませんか?」 スーツを着た男の人に声を掛けられた。名刺には聞いたことのある事務所の名前。 「ふたりともかっこいいし、特に君なんか背が高いしモデルも出来そうだよ。君も可愛い顔してるからアイドル路線でやれると思うし」 「人待たせてるんで、すいません」 海斗が断って、歩き出そうとするとその人は前に立ちふさがった。 「話だけでも!少しでいいから!」 「いや、ほんとに大丈夫です」 「もしかして、もうどこかの事務所に入ってるんですか?」 「そんなことはないですけど、」 「じゃあ!」 必死に頼み込むその人を少し気の毒に思った龍也だったが、芸能界なんてこれっぽっちも興味はない。 「ごめんなさい、興味ないです」 「じゃあ、これ!少しでも興味持ったら連絡だけでもしてほしい」 A4ほどの封筒をふたりに押し付けるように渡された。封筒には事務所の名前が書かれている。 押し返す訳にも行かず、ふたりは封筒を持って新太たちが待つカフェに向かった。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加