亜里沙の章

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学校のお昼休みには仲良しの、りおんちゃんと、よく図書室に行くの。 図書室の先生は「貴女方は本当に本が好きね、色んな種類の本をたくさん読んでね」とおっしゃるけど、いつも私達は「偉人コーナー」ばっかり。 私はマザーテレサ、りおんちゃんはナイチンゲールのお話が大好き。 りおんちゃんは絶対にナイチンゲールみたいな看護師さんになると決めて、りおんちゃんのママに言ったら怖い顔をして「看護師さんじゃなくてお医者さんになりなさい」と言われたんだって。 りおんちゃんのパパはお家の隣の病院のお医者さんをしていて、そこの看護師さんと仲が良いからママは怒ってるの、ってりおんちゃんは教えてくれた。 学校だと先生に「お友達と仲良くしなさい」と言われるのに、何故看護師さんと仲良くしたら駄目なのかわからなかったから、うちのママに聞くと「まぁ」とビックリしたあとで、嬉しそうな顔をして、そのあと機嫌が良かった。 だからまた、りおんちゃんから、お話を聞いたらママにも教えてあげようっと。 本に書いてあったけどマザーテレサもナイチンゲールも「弱い人たちを助ける仕事をしなさい」と神様の声が聞こえたらしい。 亜梨沙の学校はアーメンってお祈りはしないから学校に教会は無いけど神様の声を聞いてみたい。 だから、三年生になったら学校から駅に行く途中にある教会に神様の声を聞きに行こうってりおんちゃんと約束しているの。 神様は私に、何になりなさいって言うかな。 AKBの仕事をしなさいって言われたら、嬉しいけど、ちょっと困る。 だって、亜梨沙の目はパパに似て、そんなに大きくは無いからアイドルは自信がない。 ママの目みたいに可愛いと良かったけどママは「女の子は大人になるとお母さんそっくりになるのよ」と言うから、それまで待つことにしよう。 ママに学校の子のお話をすると、嬉しそうにする時と、変な顔をする時がある。 前にクラスのお友達のおじいちゃまが、「えんゆうかい」と言うパーティーに呼ばれて、ノーベル賞を貰ったナントカ先生と握手した話をしたら、「へー、すごいのね」と言ったきり、黙ってしまった。 亜梨沙はお勉強は嫌いじゃないけど、わからない事もいっぱいある。 だから、神様の声を聞きに教会に行く時は「人が考えている事が何でもわかる良い頭を下さい」ってお祈りするつもりなの。
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