03 #2

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「どうした?倉橋」 「いえ!別に、大丈夫です」 あたしは、ブンブン頭を振って、竹中先生に答えた。麻里は、慌てるあたしを見て、声を出さずに笑っている。 「そうか……じゃあ、次!富田!」 「はーい!」 竹中先生が出欠確認を続けてゆく中、あたしはがっくり肩を落とした。 あ~あぁ!…さいっ悪!! 一昨日、定規をなくして、ちょっと凹んだのに、今日なくしたのは、ケイが旅先で買って来てくれたご当地のレアなキャラ物キーホルダー。 よりにもよって、ケイから貰った物をなくすなんて、バカ!バカ!バカ! こんなモノに気を取られていたからだ! どうせ、誰が出したのかわかるわけないんだから、無視!無視! またも手紙に八つ当たり。 忌々しい思いで、手紙を鞄の中へ突っ込んだ。 そう…この時は微塵も考えていなかった。 この手紙の存在に、これから大きく惑わされてゆくなんて。 ・
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