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「どういう意味?」 「母がピアノ教師で……俺が暇つぶしに弾いてると、時折、指導が入るというか…」 「なるほど」 こりゃ、本格的だ。 今年度の新入生注目度No.1のイケメン双子の一人。この容姿でピアノまで達者となったら、またもや注目を浴びるだろう。 「私も聞いてみたいから、良ければ、何か演奏してくれると嬉しいんだけど…」 「……うーん…」 躊躇う様子を見せる古賀君だったけど、窓の外に視線を移した瞬間、先ほどまでの無表情が一変、口角を少しだけ緩ませ、「いいですよ」と答えた。 「何でも良いですか?」 「ええ。いいわよ」 彼はスッと立ち上がり、ピアノの前に座ると、目を閉じて、長く息を吐き出した。 そして、ゆっくりと瞼を開け、静かに鍵盤に手を下ろす。 ・
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