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女の子の視線を集めながら、登校する二人。
そんなことを気にもとめず、シンが無邪気にケイにじゃれつき、ケイは苦笑いしつつも、それを許している。
「やっぱ双子ね~。そっくり!超仲良し!」
麻里が窓にへばりついて、二人を観察する。
あたしは、その隣でぼんやりと彼らを見ていた。
穏やかで優しいケイと、明るく活発なシン。
性格が正反対の二人だけど、麻里が言うとおり、ケイとシンは凄く仲が良い。
大体、ケイの性格上、怒ることが滅多に無いから、兄弟喧嘩さえ珍しいくらい。
そんな仲良し兄弟は、一年生が使用する南校舎へと入っていった。
「あ~!目の保養が~!」
麻里が大袈裟に頭を振り、芝居じみた真似をして、うなだれる。
また別棟か…
こっそりと小さく溜め息を吐く。どうしようもない感情を持て余して。
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