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そして、あたしは視線を渡り廊下へと移した。
一年生は必ずそこを通り、教室へと向かう。
あ…来た。
シンは下駄箱でクラスメイトに会ったのか、同級生らしき男子と並んで出て来た。
その後ろから、ケイが姿を現して…
「あれ?今、双子君の1人、こっち見なかった?」
「……そう?気のせいじゃない?」
視力の悪い麻里にはハッキリとは解らなかったみたい。
だから、適当に誤魔化したけれど、今、ケイと目が合った。気のせいなんかじゃない。
ケイ、こっそり笑ってくれた!
視力が良くて、良かった!
きっと、他の人には、あの微妙な変化はわからない。あたしにはわかる、ケイの柔らかい表情。
それを見逃さなかった自分を自画自賛。
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