05 #3

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なんとなく誰もが言葉を発せず、じっとしていると、気持ちを切り替えたように、ガバッと勢い良く辻先生は顔を上げた。 「では、倉橋さん。あなたは今度の体育祭で、校歌の伴奏をしてちょうだい」 「は?え?伴奏?」 「そう。伴奏。古賀君と一緒に」 「ええ!?ケイと!?」 「うちの校歌の伴奏、かなり難しいの。だから、連弾」 「連弾…」 急な申し出に頭がついていかず、ポカンとしてしまう。 「じゃあ、放課後、一緒に練習してもいいですか?」 「ええ。もちろん」 ケイの言葉で、漸く辻先生の意図がわかった。 これって、大義名分だ…! ケイと一緒に帰る尤もな理由を作ってくれたのだ。 ・
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