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「何これ、わざと?」
「…どうだろ?」
怪訝な顔でシンは俺から上履きを取り上げると、画鋲を取り出し、すぐ傍にあった掲示板へグイッと突き刺す。そして、俺に上履きを放り投げた。
こりゃ、わざとかもしれないな。
思い当たるのは、あの手紙だ。
実は、あれから2度ほど同じ手紙が下駄箱に入っていた。それを無視し続けたから、この画鋲が次の手かもしれない。
「大丈夫なのか?」
「ああ…先端がちょっと当たっただけだから」
「そーゆーことじゃなくて。お前も気を付けとけよ?」
「何が?」
「…女、だよ」
真剣な眼差しでシンが俺に告げた。
「女は思いつめると、何するかわっかんねーからな。怖いぞ」
シンは、一度、苦い経験をしているから、心配してくれているのだろう。
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