219人が本棚に入れています
本棚に追加
「えーっと…慎太郎君だっけ?」
「そうっす」
視線は下に向いたまま、弟君は応える。
「ケイと竹中先生は仲良いみたいっすね」
「え?」
「前にダチから、先生と相談室で何話してたんだって言われて。
それ、俺じゃねーし。ケイと間違えられたなって」
「ああ…なるほど」
相談室を出入りした古賀君と俺を、あの日、見た奴がいたんだな。
「コハルもっすよね?」
「ああ。辻先生と一緒に、二人に伴奏のお願いをね」
「…そうっすか」
彼は絆創膏を手で撫でながら、ポツリと呟いた。
とりあえず、盗難の話を誤魔化した。古賀君と倉橋さんが、彼にどう話しているのかわからないから。
倉橋さんの事を『コハル』と言ったということは、俺とサユが、3人幼馴染だと知っていると認識はしているみたいだが。
・
最初のコメントを投稿しよう!