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「えーっと…慎太郎君だっけ?」 「そうっす」 視線は下に向いたまま、弟君は応える。 「ケイと竹中先生は仲良いみたいっすね」 「え?」 「前にダチから、先生と相談室で何話してたんだって言われて。 それ、俺じゃねーし。ケイと間違えられたなって」 「ああ…なるほど」 相談室を出入りした古賀君と俺を、あの日、見た奴がいたんだな。 「コハルもっすよね?」 「ああ。辻先生と一緒に、二人に伴奏のお願いをね」 「…そうっすか」 彼は絆創膏を手で撫でながら、ポツリと呟いた。 とりあえず、盗難の話を誤魔化した。古賀君と倉橋さんが、彼にどう話しているのかわからないから。 倉橋さんの事を『コハル』と言ったということは、俺とサユが、3人幼馴染だと知っていると認識はしているみたいだが。 ・
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