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古賀君から倉橋さんの髪を切られた話を聞いた時、実は俺の中で、弟君のことが凄く気になった。
全く違う形だけれど、俺も彼も、大切な人を傷つけてしまった重荷を背負っている。
彼は、倉橋さんが髪を切られた時、誰よりも自分を責めただろう。
自分の言動の甘さを。人の気持ちに鈍感だったことを。
幼馴染が自分の代わりに傷ついたことを。
俺は、それよりも性質が悪い。
サユが松尾にキスされたのを目撃して、サユは全然悪くなかったのに、無言の圧力で彼女を責めた。
告白してなくてよかった。
もう引っ越すから、あんなこと関係ない。
サユに隙があるから、キスされた。
きっと、俺の事なんか好きじゃない。
引っ越せば、もう会うことはないから、このままでいい。
懸命に自分に言い訳した。
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