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しかし、その世界を破ったのは、他でもない倉橋さんの大きな叫び声だった。 「ケイ!ケイ!やだよ!ケイ!!」 気を失った恵太郎の手を握り締め、彼女は震えている。 「救急車!誰か、救急車を呼べ!!」 俺がそう叫ぶと、数人の生徒たちが『救急車を呼んでください!』と職員室に駆け込んで行く。 騒然となる現場。恵太郎が気を失ったことで、余計に不安な空気が周りに立ち込める。 「ケイ!ケイ!!」 「コハル!落ち着け!!」 慎太郎が倉橋さんの肩を揺らして、制しようとする。 「シン…?」 「ああ…」 「ケイが…」 「大丈夫だ」 「ケイが!!」 「コハル!!」 「ケイが死んだら……あたし、あたし、生きていけないよ!!」 「コハル!!落ち着けって!」 慎太郎が倉橋さんを恵太郎から引き離そうとする。 ・
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