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「イヤ!!離して!!」
ドンと慎太郎を突き飛ばし、彼女は恵太郎の体に縋りつく。
「コハル…救急車来るから…」
「嫌!!ケイ!ケイ…!」
誰もが彼女の取り乱し方に圧倒されている。
「お願い…!あたしからケイを取り上げないで…」
「コハル…」
「ケイ…ケイ…」
彼の手を両手で包んで、祈るように彼の名前を呟き続ける。
緊迫の状況の中、彼女の彼への想いの強さに、その場にいる全ての人の胸を打つ。
「倉橋さん。そのままでいい。頭を打っているから、動かしちゃだめだよ」
彼女を刺激しないように、なるべく穏やかに話しかける。すると、コクンと素直に頷く彼女。
倉橋さんも足にケガをしているから、一緒に救急車に乗せてもらえばいい。
そう判断して、そこにいた体育教師と処置を確認する。
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