219人が本棚に入れています
本棚に追加
全体練習は滞りなく終わり、ゾロゾロと全校生徒が校舎へと戻っている。
俺達の伴奏もミスタッチなく、合格点。この調子なら、本番も大丈夫だろう。
まあ…俺は、グダグダと余計なこと考えていて、雑に弾いてしまったけれど。
演奏後にコハルにも『どうしたの?何で機嫌悪いの?』って、怪訝な顔で言われてしまった。
お袋も、辻先生も、もちろんコハルも…俺のピアノを聞いたら、俺の気持ちや精神状態を言い当てるんだよなぁ。
音楽やっている奴は、これだから油断ならない。
ま、それでも、俺の気持ちに気付かないコハルは、相当鈍いと思うけど。
田上と肩を並べて、グランドをダラダラと歩いていたら、体育倉庫前へと道具を運ぶコハルの姿が見えた。
そのまま様子を見ていたら、ふとコハルをジッと見つめる女子生徒に気が付いた。
・
最初のコメントを投稿しよう!