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……あれ、誰だ?
きっと、俺達の学年の奴じゃない。見覚えがない。
「どうした?恵太郎」
「ん?いや…」
田上に話しかけられ、視線をそちらに向けるが、やっぱり気になって振り返った。
おい!あいつ…!
「え?おい!恵太郎!?」
考えるより先に体が動いた。
目に入ったのは、その女がコハルの傍にある脚立に手をかけた姿。視線は明らかにコハルを向いている。倉庫の影で、女の姿は多分、周りから見えてない。
コハルに向かって、全速力で走る。
「やめろ!!」
俺の叫び声に、一斉に皆が俺を見る。そして、その女も俺のことを視界に入れたけれど、すでに脚立はコハル目掛けて倒れてゆく。
「コハル!!」
俺の声に反応し振り返ったコハルの手を、一気に引き寄せる。
ガタガタと大きな音が頭上に降りかかる。
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