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古賀君に縋りついて、泣きじゃくっていた倉橋さん。
その姿は、余りにも痛々しくて。
周りの野次馬達も神妙な面持ちで取り囲んでいた。二人の姿に、泣いている子までいたくらいだくらいだ。
二人の容体が気になるけれど、目の前にいる彼女も心配だ。
自分の仕出かしたことが、ここまで大きなことになるとは考えていなかったんじゃないだろうか。
コンコンとノックの音がした後、セツが入ってきた。
「古賀君、頭を縫ったらしいけど、大丈夫だって。意識も回復したそうだ。
倉橋さんも軽い怪我だけで済んだって」
「そう…よかったわねぇ…ハアー…」
安堵の長い溜息を吐き、椅子の背もたれに体重をかける。
「…フッ…グス……ごめんな…さ……」
固く閉じられていた中田さんの口から、微かながらも、やっと声を聞くことが出来た。
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