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私は、選択教科の教師だから、他の教科に比べると、出会う生徒の数は限られている。 だけれど、その出会いを無駄にしたくないから、少しだけでもいい、音楽を通じて、生徒と向き合い、共感し合いたいと思っている。 彼女と出会ったのも、きっと、意味がある。 「あのね…1年の終わりに、石野さんが『ピアノを弾くサトミはかっこいいけど、あたしがつまんない』って、私に言ったことがあるのよ?知ってた?」 「いえ…」 中田さんが目を見開いて、驚いている。 「中田さんにも、石野さんと一緒に合唱がしたいって言われて…その時、石野さんも傍にいたでしょ?彼女、凄く嬉しそうな顔してたのよ。 だから、私、そんなこと全然気が付かなくて、悪かったなぁって思ったの。 それに、全然タイプの違う二人がこんなに仲良しなのが不思議だったけど、見た目で判断しちゃダメねって、反省もした」 ・
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