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私は、その時のちょっと凹んだ自分を思い出して、肩を竦め、苦笑した。 そして、フッと短く息を吐き、姿勢を正す。真っ直ぐに中田さんを見据えて。 「中田さん…きっと、中学時代、辛かったんでしょうね… だから、余計に、石野さんが友達になってくれて、嬉しかったんだよね? 石野さんに嫌われたくなかったんだよね?」 泣きながら頷く中田さん。 「もともと、石野さんも間違っているの。あなたに伴奏させたって、結局は自分が直接行動しなければ、相手に気持ちは伝わらないわ」 私達はあなた達生徒より、歳を重ねている分、解っていることもある。 だから、自分の過去を踏まえて、生徒の挫折や後悔を、和らげる手伝いが少なからず出来ればと思う。 また、そうなりたいと思っている。 ・
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