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「コハちゃん、最近、ケイとまたピアノやってるんだよね?」
リカコちゃんは嬉しそうにあたしに尋ねてきた。
「うん。ケイと学校で伴奏の練習してる」
「そっか。また、コハちゃんがピアノを弾いてくれるようになったのは嬉しいな」
「リカコちゃん…」
リカコちゃんも気にしていたのかもしれない。あの事件がきっかけで、あたしがピアノを辞めたこと。
「音楽って不思議だよね?話したことない人とも共感することが出来るし、一音で気持ちが伝わってきたりもする」
「……うん」
「でもね…何も言わなくても通じるものもあれば、言わないと通じないものもあると思うんだぁ」
「…言わないと通じないもの」
「そう。大切なことは言葉にしないと通じない。歌だって、そうでしょ?」
綺麗な笑顔でリカコちゃんは、あたしの頭をポンポンと叩いた。
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