09 #2

3/15
前へ
/35ページ
次へ
「コハちゃん、最近、ケイとまたピアノやってるんだよね?」 リカコちゃんは嬉しそうにあたしに尋ねてきた。 「うん。ケイと学校で伴奏の練習してる」 「そっか。また、コハちゃんがピアノを弾いてくれるようになったのは嬉しいな」 「リカコちゃん…」 リカコちゃんも気にしていたのかもしれない。あの事件がきっかけで、あたしがピアノを辞めたこと。 「音楽って不思議だよね?話したことない人とも共感することが出来るし、一音で気持ちが伝わってきたりもする」 「……うん」 「でもね…何も言わなくても通じるものもあれば、言わないと通じないものもあると思うんだぁ」 「…言わないと通じないもの」 「そう。大切なことは言葉にしないと通じない。歌だって、そうでしょ?」 綺麗な笑顔でリカコちゃんは、あたしの頭をポンポンと叩いた。 ・
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

226人が本棚に入れています
本棚に追加